電源サイトには、同時に使用できる電気の容量に上限があることを知っていますか?
容量を超えての電化製品の使用は、ブレーカーを落とす原因になります。
1サイトあたり10A〜20A(1,000w〜2,000W)で設定してあるキャンプ場が多く、冬キャンプ初心者さんは注意が必要です。
ブレーカーが落ちると復旧するまで寒い思いをするし、ブレーカーを共有していた場合、他の利用者さんにも迷惑をかけることになります。
何より、夜中に管理人さんを起こしてブレーカーを上げてもらうのはすごく気が引けます。
困ったことになる前に、電源サイトの容量を知って冬シーズンに備えましょう。
電源サイトとは?
出典:青根キャンプ場
電源サイトとは、電気が使える区画サイトのことです。コンセントを1つのサイトや複数のサイトで利用します。
キャンプ場によって違いますが、電源なしサイトに比べて500円~1,000円ほど割高になるケースが多いです。
寒いシーズンは暖房器具が使えるから人気、どこもキャンプ場も電源サイトから予約が埋まってしまいます。
電源サイトの容量とは?
電気の単位にV・A・Wがあります。
- 電圧 V(ボルト)・・・電気を押し出す力
- 電流 A(アンペア)・・・電気の流れる量
- 電力 W(ワット)・・・消費される電気の量
電源サイトの容量とは、1サイトで同時に流すことのできる電気の量の上限です。
電気の流れる量は、A(アンペア)の単位で表します。
電気をたくさん使う場合は大容量のA(アンペア)が必要です。数字が大きくなるほど同時に流せる電気の量も増えてきます。
A(アンペア)の大きさは電力会社との契約で決まり、契約するA(アンペア)の量が大きくなれば1度にたくさんの電化製品を使うことができます。
1サイトの容量は10A〜20Aの電源サイトが多く、容量をオーバーすると電気による事故を未然に防ぐためブレーカーが落ちる仕組みになっています。
一人暮らしでは20A〜30A、家族のいる家庭では40A〜60Aがだいたいの目安です。
家にいる感覚でアレもコレもと同じようには使えば、すぐにブレーカーが落ちてしまいます。
使える電化製品にかなり制限がかかるため、事前に持っていくアイテムを選ぶ必要があります。
電源サイトで使う電化製品のA(アンペア)を計算
電化製品の本体や取説に消費電力または定格消費電力が記載されていても、A(アンペア)が記載されていないものが多くあります。
電化製品の消費電力または定格消費電力から電気の流れる量 A(アンペア)を計算することができます。
電気の流れる量 A(アンペア)=
消費電力・定格消費電力 W(ワット)÷家庭用電源 100V(ボルト)
例えば、電化製品(消費電力800W)のAは
800W÷100V=8A
電化製品の合計 A(アンペア)が電源サイトの容量を超えないように注意しましょう。
- 消費電力・・・電化製品を動かすのに必要とする電力
- 定格消費電力・・・電化製品が安全に出すことができる最大の消費電力
電源サイトは何W(ワット)まで使える?
電源サイトの容量をA(アンペア)ではなく、W(ワット)で考えてみましょう。
日本の電圧は100Vの電気が供給されています。
電源サイトのW(ワット)数=
電源サイトの容量 A(アンペア)×家庭用電源 100V(ボルト)
例えば、電源サイトの容量が10 Aなら
10A ×100V=1,000W
電源サイトの使用上限 AとW
A(アンペア) | W(ワット) |
10A | 1,000W |
20A | 2,000W |
30A | 3,000W |
電化製品の取扱説明書や本体には、消費電力または定格消費電力の大きさを表すW(ワット)数が記載されています。
最初からW(ワット)数で考えれば、わざわざA(アンペア)に計算する手間がありません。
計算で求めるなら次の式に数字を当てはめます。一般家庭の電圧は100Vです。
電化製品の消費電力 W(ワット)=電圧 100V(ボルト)×電流 A(アンペア)
電気がたくさん必要な電化製品ほど、W(ワット)数も大きくなってきます。
電化製品の合計 W(ワット)数が電源サイトの容量を超えないように注意しましょう。
電源サイトの暖房アイテム「AとWの目安」
電源サイトで使う暖房アイテムのA(アンペア)とW(ワット)数のおおよその目安です。
ザッとリストアップしてみても、電源サイトの容量に20A(2,000W)あると選択の幅が広がります。
おもな電化製品 AとWの目安
暖房アイテム | A(アンペア) | W(ワット) |
電気ストーブ | 10A | 1,000W |
セラミックファンヒーター | 8A | 800W |
カーボンヒーター | 6A | 600W |
電気カーペット(3畳) | 8A | 800W |
電気毛布 | 0.4A | 40W |
こたつ(強) | 5A | 500W |
電源サイトでiPhoneの充電には工夫が必要
iPhoneのキューブ型充電器には、「Output 5V-1A」と記載されています。
A(アンペア)は、1Aです。
100Vを5Vに変換して使う仕組みになっているため、消費電力は5W(1A×5Ⅴ)です。
1A(アンペア)で計算するのと、5W(ワット)で計算するのでは電源サイトで同時に充電できる台数が大きく異なってきます。
例えば、電源サイトの容量が10A(1,000W)の場合
- 1Aだと同時に10台(10A ÷1A/台)まで充電器できる
- 5Wだと同時に200台(1,000W÷5W/台)まで充電できる
A(アンペア)とW(ワット)のどちらを基準にすればいいのかわからないので、中部電力・東京電力さんに聞いてみました。
「容量ギリギリで使うよりも、余裕も持たせた方が安心です。1Aで計算してください。」と回答を頂きました。
グループやファミリーで同時に充電すると、かなりの容量を奪われることになります。
充電する順番や暖房アイテムとの組み合わせを工夫するなどして、限られた容量を上手に使いましょう。
モバイルバッテリーを有効活用するのもおすすめです。
電源サイトで使う延長コードの選び方
- 10m以上
- 15A用
- 明るい目立った色
- 工事現場や建築現場などで使われているもの
- 柔らかいソフトタイプ
- 濡れる場所では防雨型
必ず延長コードを用意しましょう。
電源となるコンセントは、邪魔にならないよう区画サイトの端っこに設置してあります。
電気をテント内まで引っ張ってくるのに10メートルの延長コードがあれば安心です。
延長コードが脚にからまって転倒を防止するため、明るい目立った色を選ぶのがおすすめです。
電源サイトの延長コードは15Aを選ぶ
延長コードには流せる電流の量が決められています。制限を超えて使うことはできません。
余裕を持って15A用のものを選んでおけば間違いありません。
15Aまたは1,500W(15A×100V)までの電化製品をつなぐことができます。
冬キャンプの延長コードは柔らかさで選ぶ
工事現場や建築現場などで使われている延長コードは、電線を包んでいるゴムが丈夫で柔らかいため踏んだり引きずったりしてもなかなか破けません。
冬でも固くなりにくい柔らかいコードは、寒さに強いため断線しにくいメリットがあります。
冬キャンプには最適です。
柔らかいとクルクル巻いてもクセがつかず扱いやすく、コンパクトにまとまるので収納場所をとりません。
電源サイトの雨雪対策
↑防雨型延長コード
キャンプで急な天候の変化はつきものです。
延長コードと電化製品または延長コードと延長コードの接続部分が、雨や雪などで濡れると感電や漏電火災の原因になります。
接続部分が防雨型になっている屋外用の延長コードがあると安心です。
雨や雪の日に防雨型になっていない延長コードを使う場合は、接続部分が濡れないようテントの中に入れましょう。
経験上、接続部分をテント内に入れる場合は、防雨型延長コードを用意する必要はありません。
気を付けたいのが、キャンプ場に設置してあるコンセントの差込口と差込口の幅が狭いと、防雨型延長コードを使えません。
差込口で延長コード同士が接触してしまいます。
解決策として、防雨型の補助コードを使いましょう。
延長コードのプラグを防雨型に変える
↑一般的なプラグ
↑防雨型プラグ
コンセントに差し込む側のことをプラグといいます。
延長コードのコンセントだけが防雨型になっていても、差し込む側の延長コードや電化製品のプラグも防雨型でないと防水効果を発揮しません。
誰でも簡単に防雨型プラグへ変換できるおすすめアイテムが「ハタヤ プラグカッパー」です。
①黒いゴムの部分をめくります。
②プラグを上から差し込みます。
③黒いゴムの部分を戻します。
④防雨型プラグのできあがり!
プラグカッパーは、丸い形のコードで太さが外径7.4mm以上に適合します。
平たい形のコードや細いコードで使う時は、口元に隙間ができないよう輪ゴムやインシュロックで縛るなどして使ってください。
電源サイトのたこ足配線は危険
電源サイトで使用できる電気の容量は決まっています。
コンセントの数を増やしても容量が増えることはありません。
同じコンセントから複数のコンセントを付けて使う「たこ足配線」は、1度に多くの電化製品を同時に利用することができます。
たこ足配線は電化製品の合計電流がわかりにくく、決められた容量をオーバーし発火や火災の原因になりとても危険です。
プラグやコンセントの接続部が増えると、ゆるみやぐらつきが原因で発火する危険性も増します。
過度なコンセントの利用はやめて、不要なコンセントは抜くようにしましょう。
- 電源サイトの容量を超えてしまうリスクが高くなる
- 接続部の「ゆるみ」「ぐらつき」が原因で発火する危険性が増す
まとめ
手軽に暖をとることができる電源サイトは、冬キャンプの強い味方です。
電源サイトを利用する時は、事前に容量を確認してから暖房アイテムを持ち込むようにしましょう。
人が少ない冬キャンプの醍醐味は、ゆっくりと流れる静寂の時間をまったり楽しむことです。
夏キャンプでは絶対に味わえない時間です。
温かいドリンクを飲みながらのんびりとくつろいでみませんか。
ではでは、キャンプにいってらっしゃい!
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